第2章 コンサート

緞帳は会場のものを使用。1ベルが鳴ると「日本妖精伝」という文字がスポットにより写し出される。
(開演17時12分)

1 ナイルにて
2 バニアン樹に白い月
3 Close Your Eyes

〜MC〜
1年振りの松山でのコンサートですが、最近は愛媛に来る機会が増えた。先月はFM愛媛の玲子の番組で西条に来たし、昨年はこっちの都合(笑)で2度も来た。身体は元気だけど声だけが出なくなる事件があったからなんですけど、だからこそ今年は体調を整えて、何が何でも愛媛だけは飛ばさないように、と思ってやって参りました。来る3月20日に3000回目のコンサートを迎えることになっており、今日は...(前の方の席から「2992回」という声)、そう、何で知ってんの?(笑)。

もう松山も20回では足りないんではないかと思うんですが、そんな中、今回が初めてのコンサート、という方は拍手を。(2階席以上を中心に結構多い) それでも結構いますね。今回は通の方でも難しい3曲で幕を開けました。でも、初めてさだのコンサートに来た、という方も知っている曲をいくつか用意していますのでご安心を。また、今日はステージの上に2トンの水を配置しています。2階席以上の方はその写り込みも楽しんでいただけたら、と思います。

今回のツアーは「日本妖精伝」(右の画像は我が家にあるカークレイナート作の「ナイトハーベスト」という妖精を描いた版画です)というツアー。人の心の中には妖精が住んでいると思う。何かもう一踏ん張りしたい時に妖精が後押ししてくれたり、また逆にちょっとした人の言葉によってそれがなくなってしまったり...。会場から「さださぁーん」という声。まっさんが反応しているとあちらこちらから「さださぁーん」と呼ぶ、昔は黄色だったけど今は茶色や黄土色(さださん談)の声が。中には男性の声もありました。さすがにまっさんもこれには苦笑い。でも、初っぱなから何か会場一体になって盛り上がる雰囲気のコンサート、松山では過去最高の雰囲気じゃないかなぁ(^^)。

4 きみのふるさと
5 吸殻の風景

〜MC〜
 昨年、スコットランドのグラスゴーを旅してきました。こいつ(と言いながら愛用のヴァイオリンを取り出す)の故郷を訪ねて、というテレビの録画撮りを兼ねてだったが、1894年製で作者がR・C・クロフォード、ということ以外何もわからない、そういうところから始まった。R・C・クロフォード、この名前がこの話のキーワードです、R・C・クロフォード、さあみなさんご一緒に。(というと会場からR・C・クロフォードという声がする、それを聞いてまっさん)ホントに言うな(笑)。今ので妖精が一つ消えたね(笑)。

グラスゴーに着くと街中の人が親切にしてくれていろいろ探してくれた。そしてとうとう「奥さんならまだ生きている」という情報をキャッチした。でもちょっと待て?ヴァイオリンが1894年製...。どう若く見積もっても120歳くらいには(笑)。思わず「動いてる?」って聞いてしまった(笑)。会いに行ってみていろいろ話を聞くと「R・S・クロフォード」さんという人違いであった。奥さんは「そんなこと気にしないわよ」ときさくにおっしゃってくれたが「こっちは気にする」(笑)。

と、ここまでがこの話の枕なんです(笑)が、この後聞きたい?(会場から拍手。この段階で既に開演後1時間近くが経過、でもファンの期待は歌じゃないから(笑)、こんなの聞くだけムダですよ、まっさん(^^))

結局話は振り出しに戻り、今度は地元のラジオ局が協力してくれると申し出てくれた。局の人は皆親切、また向こうのDJはかっこいい。日本人離れした(笑)スラッとした背の高い人、目の色を変えて(笑)探してくれる。(向こうのDJ風、ノリノリの喋りで)「今日は日本から素敵なゲストが来てるんだ。さだまさし、彼はなんとグラスゴー産のヴァイオリンを持っている。このヴァイオリン、R・C・クロフォードという人が作った。R・C・クロフォード、この名前に記憶がある奴は今すぐ電話してくれ。番号は0120の100番100番」(爆笑)。

そしたら、見つかった。R・C・クロフォードという人は実は画家だった。もう子孫の方もグラスゴーには住んでなかったけど、オーストラリアとアメリカにおひとりずつお孫さんが住んでいるというので、Eメール。今は便利になりましたね、Eメールで連絡したらオーストラリアの方からはすぐに返事が来た。お孫さんどおしも連絡がとれなくなっていたらしく、これを機に連絡を取り合っており喜ばれた。

R・C・クロフォードの絵も見てきた。展示されてなかったが係りの人がわざわざ奥から取り出してくれた。繊細な絵を描く人だった。そしてお墓参りもしてきた。スタッフの人は何も言わずにカメラを回していた。何か弾いて欲しいのはわかっていたけど、そう言われれば自分はへそ曲がりだから弾かなかったかもしれない。でも、スタッフはそれを見越してか、何も言わずただカメラを回していた。あなたの作ったヴァイオリンは、今、こんな音を出しますよ、ということを伝えたくて、スコットランドのこの曲を演奏してきました(と言いながらヴァイオリンを弾きはじめる)。

6 Amazing Grase(ヴァイオリン ソロ)〜北の国から
7 案山子
8 道化師のソネット

〜MC〜
 小説・精霊流しの話。テレビが入った関係でわずか2ヶ月で書き上げたため、あんなものしか書けなかった。それでもたくさん買っていただいた。あれは自分の実力でなくTVの力だってことは十分わかってる。今、次のを書いている。次は期待して欲しい。次はすばらしいものを書いて、最初の作品を持っている人が「あいつは最初はこんなものしか書けなかった」と言えるような、次の作品にしたい。長崎では初盆に精霊船を流す。市内を練り歩く時は爆竹を鳴らしたりして、それはにぎやかなお祭りだけれども、最後に船を流す瞬間、船から手を離す瞬間には「この人のことを吹っ切ります」と心に決めなければならない。

先日、父親と一緒にある葬儀に参列した。都会は何もかも簡略化しており、火葬場からの霊柩車の移動距離はわずか数十メートル。それを見た父が言った言葉、「あれだけしか移動してないのに5万円はとるぞ」(笑)。「わしの時は”自分で移動します”(笑)と言っとけ」。そんな親父が逝った時には、芸者衆呼んででっかい精霊船出すからな、と言ってある。でも自分が死んだ時、そん時は精霊船は出して欲しくない。長崎人にとって、精霊船を流すというのはとても大きな意味が込められている。自分は長崎人だけれども、自分の子供達はそうではない。精霊船の深い意味も知らない人にはあの船は担いで欲しくないと思っている。

9 精霊流し

〜MC〜
みなさんに時々ヒット曲なんか出してもらえるから、それでお金が入る。でも、自分自身貧乏で育ったからそういうお金を持っているのが怖い、すぐ使っちゃう。「精霊流し」で長崎に墓を買い、「雨やどり」で詩島を買い、「関白宣言」で映画を撮ったら足りなかった(笑)。今日は「関白宣言」は歌いませんけどね、と言うと会場から拍手が。拍手がどんどん大きくなり歌わざるを得ない状況に。メンバーに深々とお辞儀をして「いらんこと言わなきゃよかった」と笑いながら演奏を始める。

10 関白宣言

〜MC〜
予定してない曲を歌いましたので帰りに68円ずつ払って帰って下さい(虎キチ@愛媛注:同じパターンが他会場でもあったため、そういう演出かも?ちなみに大阪や神戸では65円だったらしい。この3円の差は何?(笑))。会場から「失脚もやって」の声が(拍手)。まっさんにははっきり聞き取れなかったらしく「えっ?何?」「失脚ー」という会話(だいたいコンサート中にステージと客席で会話が成り立つこと自体凄い(笑))のやりとりがなされたが結局まっさんに届かなかった。と、その時「がんばれー」と関白失脚のメロディーで叫んだ人が。これに気づいたまっさん「えっ?失脚もしろって?バカ言ってんじゃないよ」と断っていたがその頃には会場中に拍手は広がり、再び歌わざるを得ない状況に(笑)。スタッフが慌ててステージ袖からギターを持って出てきた。こっちこそ本当に予定外の曲かも?まっさん、わざと他の曲のコードを弾いて笑いを誘う。

11 関白失脚

〜MC〜
2曲で100円にまけておきますから(笑)。最近はお父さんの威厳がなくなった、という話(丹原町コンサート参照)。男は女がいなくちゃ生きていけない。あるところにおじいさんとおばあさんがいた。おばあさんが先に逝った時、数年もたたずにおじいさんは後を追うように亡くなってしまう。逆に(笑)。おじいさんが先に逝った時、おばあさんはもっと元気になる(笑)。男は所詮、女がいなけりゃ生きていけない。だから、そんなお父さんを今より少しだけでいいから大切にしてあげて欲しい。ポチのエサや散歩には気を配るのに、お父さんは全く関与しない。もっとお父さんを大切に。「夫」と「ペット」、一文字しか違わないんだから(爆笑)。夫はペットだと思って(笑)、大切にして欲しい。

12 勇気凛々

〜MC〜
 人には長所と短所があるけれど、短いから短所っていう。短いものはいくら頑張っても短い。短所を補うんではなくて、長いものをもっと長く、長所をどんどん伸ばしていって欲しい。自分は「命」「時間」「心」という、人に不公平に与えられたものを中心に歌ってきた。「時間」なんて公平に見えても、ぼぉーっと2時間過ごしている人もあれば一生懸命何かを頑張っている2時間もある。「心」だって自分ではどうしようもない時がたくさんあるし、「命」だって...。

「命」とか「心」をテーマにした曲というのはどうしても重たくなっちゃう。これがさだ嫌いを作っている一つの原因なのかもしれない。でも、今こういうテーマで曲を作っている人がいない。だったら俺が作るしかないかな、と。こういう曲もやっぱり必要だと思うから...。今回のツアーでも「命」を一つのテーマとして「償い」を歌ってきた(拍手)。まさかああいう形で注目されようとは思ってもいなかったけど...。

13 償い
14 1989年 渋滞
15 春雷

〜MC〜
 元気と勇気の話。

16 夢(弾き語り)
17 主人公
(1幕20時4分)

〜アンコール〜

18 フレディもしくは三教街
演奏が終わった後、いつものようにステージ中央、上手、下手で深々と頭を下げ、拍手が鳴りやまない中、にこやかな笑顔で両手を振りながら去っていく。まっさんが去りメンバーが手を振る中、静かに緞帳が下がる。
(終演20時14分)

虎キチ@愛媛の選ぶさだまさしBESTに含まれる曲が3曲も生で聴けるとは偶然とはいえ最高でした。特にBEST1である「償い」は生で聴くのは何年振りかな?でもやっぱり今回のアレンジよりも以前聴いたものや「書簡集」に収録されているギター2本のみのアコースティック償いの方が、より迫力満点で好きです。

実は、この2日前が3年担任として迎えた卒業式。その数日前から体調を崩し微熱が続いており、卒業式の翌日(つまりコンサートの前日)に緊張の糸が切れたのか突然熱は39.3度に。意地でもコンサート行くぞ、ということで12:00頃と21:00頃の2回も病院へ行って注射。翌朝起きたら平熱に戻っており、インフルエンザをたった1日で根性で克服しちゃいました。そんな根性で行く価値の十分あったコンサートでした。でも、その3日後熱はぶり返し肺炎で約1週間苦しみました(^^;;;)。いろんな意味で忘れることの出来ないコンサートになりそうです。

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