巨人の星に
噺歌集Tより抜粋(’79.4.10. 広島)
ぼくは、ほんとに、どうしてこんなに野球が好きになったんだろうな。だからといって、まさか、いまから巨人の入団テスト受けるわけにいかないし。二十七でしょう、もう。巨人の入団テストの年齢制限は二十五歳まで。身長百七十何センチ以上、体重も決まってるんですね。ぜェんぶ、足りない。一つだけ越えてるのが”年”(笑)。エヘヘ。アカン。いやあ、こうなりゃ、しょうがないね。ぼくはね、身内からぜひプロ野球選手、とくに巨人選手を出したいと思ってるから、こうなれば息子に期待するより他にない。
息子が生まれましたらねェ(チーン、ひやかしの音)。ウフフ。息子が生まれましたらなんて、まだ嫁ももらってないんですけど(爆笑)アハハ。息子が出来たら…もう、息子しかいらない! 娘なんかいらない! 娘を生んだら離縁(笑)。もうね、男しか産めないという、そんなかわいそうな女を嫁にしまして、そして男を産ませる! そして、お父さんと−お父さんってぼくのことなんですが−一緒に毎朝ランニングをする。ランニングを着るんじゃないですよ。ジョギングをする。そして柔軟体操をする。オイチニ、オイチニ(体操する)。
それで、幼稚園には行かせない。英才教育をする。鉄のゲタをはかして(爆笑)階段をのぼりおりさせる。小学校入学と同時に、手首に、足首に、鉛をつけて(爆笑)、両手両足にナマリをつけるんです。これがこの話の伏線になってくる。そして、小学校高学年に入ると”セ・リーグボール養成ギブス”というのをはかせる(爆笑)。おもちゃといって与えるものはボールが一つ。長屋の壁に、このくらいの穴を開ける(笑)。露地をはさんだ電柱にぶつけて、キャッチボールをさせる。そこへ! ぼくを訪ねてきた長嶋監督が見て驚く。
「オオッ」(爆笑)
ところが子供がね。やっぱり子供っていうのは、親が押しつけるものには反発するもんでありまして、やがてゴネるわけです。
「お父ちゃん、オレいやや。なんでオレだけこんなつらい思いせんとあかんのや。わしゃあいややわ」(笑)
なんで子供だけ大阪弁なのかよくわからない。まあ、たぶん、これは子供の頃からナマリをつけてたせいだろうと思うんです(爆笑)。
その頃のぼくといえばね、こんなバカな話なんか絶対にしない! 寡黙を保ち、めったに口を開かない。白髪になってね。ハハハ。うちは白髪にならない家系でねえ(爆笑、バックのひやかしの音)。親父を恨むよ。
でもね、千春よりはいいからね、ぼくは。あのね、谷村新司さんにもう冗談がいえなくなってきた(笑)。谷村さんとぼくとは、アデランス・ブラザーズという兄弟分でね(爆笑)。この間ね、彼と話をした時にね、どうもいつまでも二人だけでアデランス・ブラザーズというのは淋しいじゃないか。で、平均年齢を若返らせるために、誰か新人はいないだろうかってんで、ドラフト第一位にあがったのが松山千春(爆笑)。
ぼくら、ぼくと谷村新司さんっていうのは、なんていうんですか、あのォ、非常に理性派の減り方、前線総退却型っていうんですね(爆笑)。こういうふうに、こういくわけですよ。松山千春の場合には、どっちかというと、中心点爆破型(爆笑)というね、だからあいつの方が危ない! こんど松山千春がきたら、さだまさしからそういう伝言があったと、伝えていただきたいと思います。あっ、どうもありがとう(会場からプレゼントあり)どうもありがとう、気ィつかわないでください。それ、なんですか? ”カロヤン・ハイ”? そう、ありがとう。やっぱり、カロヤン・ハイは使った方がいいそうです。
これはいわないでね、千春に(笑)。ここだけの話ですよ。あいつも気にしてんだ。で、あいつはねえ、これほんとうにいわないでくださいね、いえばぼくがいったってすぐわかるんですから(笑)。これはね、ぼくしか知らない秘密なんです。いわないでください。千春は寝る時に”ナイトキャップ”をかぶって寝る(爆笑)。エヘヘッ。これはいわないでください。ぼくと千春の友情にヒビが入りますから。
その頃、ぼくは白髪になって…長いねえ、この話も(笑)。着物をきて、杖をついて。子供の名前がいいのよね、雄馬(ゆうま) (爆笑)。ウフフ。「雄馬! わたしはお前をそんな軟弱な子供に育てた覚えはない。雄馬、立て! 不死鳥になれ!(爆笑) 雄馬! あの星をごらん!!」(爆笑) これをね、やりたくて、ぜひね…どうして話の段になるとわたしはこう、悪のりするんだろうなあ(笑)。
なんでわたしが巨人選手にこだわるかというと、身内から巨人選手を一人出せば、巨人戦がタダで見られるという、非常にセコいところから出てきてるんです(笑)。
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