トイレで握手
噺歌集Wより抜粋(’84.7.9. 札幌厚生年金会館)
この頃、年輩の男性の方にも声をかけていただけるようになりました。最初声かけられた時はびっくりしましたよ。
「もしもしッ」
「はい、なんでしょうか」
「さださんですねッ、さだまさしさんですねッ」
そういいながら、彼は内ポケットに手を入れてる(笑)。わたしはあそこから警察手帳が出てきたらどうしよう(笑)、どれだろう、この間の立ち小便かな、いろいろ考えてね、不安になったんです。
「さださんですねッ」
「はい、……なんでしょうか」
「ハッハッハッハッ、ファンです」(笑)
なんのことはない、単に名刺を探してたんですね。怖かったですよ、でも。
それからね、この間、羽田空港の便所でね、用をたしてたんですよ。そしたらね、隣にかっぷくのいいおじさんが来ましてね、隣に並んだと思ったら、
「う〜ん? うん? さだまさしさんだッ」(笑)
いや〜な感じですね、用をたしてる時に顔をのぞかれるのって。なんか心なしか、ちょっとこう身体をひねって隠したくなりますね(笑)。べつに見てるわけじゃないんでしょうけど、不気味ですね。
「ハッハッハッ、さだまさしさんかあ〜、さだまさしさんですねッ」
「はあ」
「うちはねえ、皆あなたのファンなんですよ。女房がね、あなたの歌が大好きなんですよ。子ども二人もあなたのファンなんですよ」
「どうもありがとうございます」
「やあ〜、奇遇だなあ! 皆にこのことをいったら喜ぶだろうなあ。記念に握手してください」(爆笑)
できるかッ、そんなものッ、しましたけど(笑)、ハハハハッ。
次ページへ