虎キチ@愛媛的マジック考察

 

プロ野球も後半になると首位チームが2位以下を徐々に引き離し、ついには「マジック点灯」となる。スポーツニュースや新聞で当たり前のように使われる「マジック」だけど、野球好きの中にも意外とその意味を知らない人も少なくない。マジックとは、対象チームが全勝したとしても自分とこがそれだけ勝てば優勝できますよ、という数字です。なぁーんだ、だったら開幕時にみんなマジック140じゃん、というあなた。そんなに単純なものではないんですよ。対象チームが全勝する、ということは自分とこはそのチームにはそれだけの数は負ける、ということなんです。つまり全勝は計算できない、すなわちマジック140というのは理論上あり得ないんです。

えっ?わかりにくいですか?では具体的に例をあげて説明します。6チームだとややこしくなっちゃうんで4チームで30試合制、ということにしましょう。各チーム21試合経過した時点で以下のような成績であったとしましょう。この時点で、各チームそれぞれ3試合ずつの対戦を残しており、それぞれが残り9試合という状況です。実際にはもっと試合数も多いし引き分けもあるでしょうが、計算しやすいですからこれで説明しますね。

 

阪神

阪神

15

 

4−3

5−2

6−1

Aチーム

13

3−4

 

4−3

6−1

Bチーム

10

11

2−5

3−4

 

5−2

Cチーム

17

1−6

1−6

2−5

 

さて、それでは阪神のマジックが点灯するかどうか考えてみましょう。

まずCチームについて。Cチームは残り9試合全勝したとしても最終的に13勝17敗。阪神はすでに15勝してますからCチームの優勝は絶対にあり得ない(この場合、形式上マジック0という場合があります)ですね。

続いてBチーム。残り9試合全勝で19勝11敗。その場合、阪神はBチームには3敗することになります。Bチームが全勝、ということは阪神・Aチーム・Cチームにそれぞれ3勝ずつする、ということですから、逆に阪神はBチームに3敗している、ということです。おそらくこれがマジックを考える上で一番勘違いされている部分だと思います。さて、話を戻しましょう。阪神はBチームには3敗しますが、その他に6試合残してますから、この6試合で5勝すれば20勝となりBチームが到達可能な最高勝数19を上回ります。つまりBチームに対するマジックは5となります。

最後にAチームについて。残り9試合全勝すると22勝8敗。その場合阪神はAチームに3敗してますので他の6試合に勝ったとしても21勝9敗となりAチームが逆転可能です。つまりこの場合、Aチームに自力優勝(残り全勝すれば優勝できる可能性がある場合こう言う)の可能性が残っています。マジックというのは自チーム以外のすべてのチームに自力優勝の可能性がない場合に点灯するので、この場合は残念ながら阪神のマジックは点灯しないということになります(T_T)。

上の状況から阪神対Aチーム、Bチーム対Cチームが行われ阪神とBチームがそれぞれ勝つと...。

 

阪神

阪神

16

 

5−3

5−2

6−1

Aチーム

13

3−5

 

4−3

6−1

Bチーム

11

11

2−5

3−4

 

6−2

Cチーム

18

1−6

1−6

2−6

 

Cチームには既に優勝の可能性がありませんので...。さてBチームは残り8試合全勝で19勝11敗。この場合阪神は3敗しますが、他の5試合のうち4勝すれば20勝となりますのでBチームに対するマジックは4。そしてAチームは残り8試合全勝で21勝10敗。この場合阪神は2敗(この日1試合したので減ってます)しますが残り6試合すべてに勝てば22勝となりAチームを上回ります。下の表を見てもらえばわかりやすいかな。Bチームに対して4、Aチームに対して6ですので、この場合は対象チームがAチームでマジック6が点灯します\(^O^)/

阪神

Aチーム

Bチーム

最終勝率

最終勝率

最終勝率

6勝2敗

733

5勝3敗

700

8勝0敗

700

4勝4敗

667

7勝1敗

667

3勝5敗

633

6勝2敗

633

8勝0敗

633

2勝6敗

600

5勝3敗

600

7勝1敗

600

ところで、この状況から再び阪神対Aチーム、Bチーム対Cチームが行われ阪神とBチームがそれぞれ勝ったとするとBチームに対するマジックは4のままですがAチームに対するマジックも4となり、マジック対象チームがAチームとBチームの2チームとなります。逆に、例えばAチームがBチームに勝ち、Cチームが阪神に勝ったならばAチームに自力優勝の可能性が復活しマジックは消滅します。

このように1度点灯したマジックが消滅したりマジック対象チームが複数、あるいは2位ではない場合も出てきます。3位以下が対象チームになるのは残り対戦数や残り試合数の差(この場合の阪神はAチームとは残り1試合なのにBチームとは3試合も残している)による場合が多いわけですが、実際の場合は3位以下がマジック対象チームになることは少ないと思います。

また、1度点灯したマジックは、消滅したり対象チームが替わらない限り、自チームが1勝すれば1つ減り対象チームが1敗すれば1つ減ります。この上の表で自チームが勝てば1段上に上がり、対象チームが負ければ1段下がることになりますのでわかりますね。ですから直接対決で勝てば自チーム1勝・対象チーム1敗ですから一挙に2つ減ることになります。

それからこれこそ滅多にないことですが、2位チームにマジック点灯することもあるんです。例えば...。

 

Aチーム

20

阪神

19

この場合Aチームは残り1試合に勝っても21勝8敗1分。2位阪神は残り3試合に全勝すれば22勝8敗でAチームを上回ることが可能ですよね。そして直接対決が残っていなければ阪神にマジック3が点灯します。点いたり消えたり、対象チームが替わったり2位にマジックが点灯したり。まさにマジックは魔法のようなものなのかもしれませんが、マジックが点灯させたチームが優勝に近い位置にいることは間違いありません(^^)。

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